あの夏から、何日経ったでしょうか。
今日も、この瞬間も、ALSという病気は続いています。
あの夏から、何日経ったでしょうか。
日本がALSという病気を知り、広め、伝えようとした夏。
熱をおびた日々が過ぎ、
どれだけの人がALSを覚えているでしょうか。
たったの1日でも。
このサイトには、ALS患者の毎日を綴った写真があります。
普通でかけがえのない365日。
チャレンジはいりません。思い出してほしいのです。
この瞬間もALSが続いていることを。
変えるために。動かすために。
忘れない。それが、いちばんのエネルギーになる。
2005年、日本ALS協会の機関誌JALSAにおけるグラビア撮影が始まりました。
グラビア撮影をさせていただいた最初の患者さんは、東京都の丸山さんでした。その日初めてALSの患者さんと対面した私は、身動きがとれず、言葉も無い丸山さんと、どのようにコミュニケーションをとれば良いか戸惑っていたのですが、丸山さんは私と目が合った時に「にっこり」と、笑いかけて下さいました。呼吸器を着けているにもかかわらずその表情は素晴らしくチャーミングで、その笑顔をきっかけに無事に初回の撮影を終えることができました。
言葉では無い意思の疎通、最大のコミュニケーション=笑顔。患者さんの笑顔は患者さんのおかれている状況、人生観など全てを物語っていると思います。
その撮影を経て、2回目からは患者さんと家族の「笑顔」を撮ることがテーマになりました。
この度、有志の力を得て、10年間グラビアで撮り下ろしたものに新たに写真を加え、「356ALS」としてWEB上でより多くの人に見ていただけるようになりました。
ここにある写真は、ALSの患者さん達の普段の生活の中の一部のしかすぎませんが、365日の闘病生活、難病と共に生きていこうとする患者さん達の強い意志と勇気、それとそれを支える家族や周りの人の姿から、底知れぬエネルギーを感じ取っていただければ幸いです。
渡邉 肇
Amyotrophic Lateral Sclerosis(略称:ALS)
筋萎縮性側索硬化症。
MLBの国民的人気選手であったルー・ゲーリッグが
この病気に罹患したことから
別名「ルー・ゲーリッグ病」とも呼ばれています。
ALSとは体の感覚や知能、視力や聴力、内臓機能は健全のまま、
手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて
力がなくなっていく難病です。
筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動を
つかさどる神経(運動ニューロン)だけが障害をうけることにより、
脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなり
筋肉が痩せていってしまいます。
残念ながら今現在、発症原因は解明されておらず、
治療法は未だ見つかっていません。
世界の年間患者数は120,000人、
日本では現在約9,200人が治療を待っています。